事情がある。

事情がある。










昨日は、移動時間を含めて、4時間ほど、出かけてきました。

私の希望で、夏の終わりの海を見に行きました。




海岸沿いのベンチに座って、ハイネケンを片手に(ハンドルキーパーは夫に託しました^^)、小一時間、

北欧映画とアメリカ映画の違いについて・・・興味なさそうな夫に熱弁したり(笑)、
ぼーっと波を眺めたりしながら過ごしました。









駐車場の傍には、記念撮影スポットがあり、
木で囲まれたスペース内に、スマートフォンを設置できる台と、椅子が準備されていて、
結構な人だかりだったのですけれど、



私たちが帰るころには、数組が並んでいるだけになっていたので、
「せっかくだから、撮ろうよ。」と列に並びました。




私たちの前には、私より少し年長だと思われる女性が一人で並んでいらっしゃいました。




少しして、私たちの後ろに、生後半年くらいの赤ちゃんを抱いた若いご夫婦が並ばれて、
奥様が、ご主人に、小声で、
「あの人、一人で記念撮影するのかな・・・」と言うと、
ご主人が、
「写真が趣味なんじゃないの?」と応え、
「ふ~ん・・・」
という会話が聞こえてきました。




私は、

きっと違う・・・
きっと、女性にとって、ここは特別な場所で、
もしかしたら、大切な人と来たことのある思い出の場所を、再訪されたのかも知れない。
と、思っていました。




若いカップルたちや家族連れの賑やかさと、
しんとした女性の佇まいは対照的で、
そこだけ、透明のカプセルに包まれているように感じたからです。





もう少しで、女性の順番になるタイミングで、後ろのご夫婦が、
「わ!ウンチしたみたい。オシメ変えなきゃ💦」
「一人で大丈夫?」
「無理だよ。車のシートで変えるから、動かないように抑えててよ。」
と、列を離脱しました。





子供連れアルアルだなぁ・・・と、遠い昔を思い出して、
もし、私たちがいる間に戻ってこられたら、(既に後ろに数組並んでいたので)
私たちが最後尾にずれて、ご夫婦と赤ちゃんに順番を譲ってあげよう・・と思いました。
私達にとっては、10分程度の待ち時間、どうってことありませんが、
乳飲み子を連れての待機の10分間って、難儀だろうなぁ^^;と、実感としてわかるからです。






以前、山田ズーニーさんが、

***
「なにかきっと事情があるにちがいない。」とりあえず1回そう心の中でつぶやいてみる。
相手に腹を立てたり失望したりする前に、とりあえず1回。
すると、いまの自分にはわかれないけれど、相手には相手なりの深い事情があるのかもな、という気がしてくるから不思議。そう、人それぞれの事情がある。
***

と記していらっしゃいました。





人は、自分が経験したことしか想像できませんから、
全ての人の、「それぞれの事情」に思いを馳せることは、とても難しいことです。

だけど、「私にはわからないけど、きっと何か事情があるのだろう。」と、慮ることはできる。




赤ちゃん連れの大変さを経験済みの私は、若いご夫妻のご苦労を、我が事のように感じたけれど、



年長の女性の心の内は、正直不明です。
けれど、「きっと事情があるのだろう。」と思うことはできる。
そういう形にも声にもならない思いを、互いに持ち合えたら、この世はとても生きやすい場所になるだろうと思うのです。





結局、若いご夫妻は戻って来ず(もしかしたら、そのまま授乳タイムになったのかも知れません^^;)、
お一人で写真を撮り終えた女性が、「お待たせしました。」と、場所を譲って下さいました。
マスクで隠れて目元だけしか見えませんでしたけれど、少し微笑んで下さっている気がしました。





その時撮った画像です。



それぞれの今を生きる それぞれの目に映る海原は、
それぞれ別の風景に見えているのかも知れません。



きらきら光る銀波と、その向こうで始まった夕焼けと、
沈んだ色の雲と・・・
私の目に見えた64歳の夏の終わりの海を、私は生涯忘れないだろうと思いました。






***バナーを変えた事情。

かつて、初めて陶芸体験をした際に、夫と対で作った器を、引っ越しのための家内整理で、久々手に取りました。
(私は轆轤を回すことが怖くて^^;、ほとんど指導して下さった陶芸家のかたが作って下さったものですが💦)
懐かしくて、初めて、オリジナルの画像でバナーを作ってみました。



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