知らないこと

知らないこと






9月1日



新しい月の始まり。



俳句の会の会員さんから借りている 村上春樹の長編小説『街とその不確かな壁』を、
約半分のところまで読み進めた。



読み始めてすぐに、
幼い頃の、遠い異国の地に憧れる気持ちを思い出した。


見知らぬ土地・・・ここではないどこか・・・には、とても幸せなことがあって、素敵な人たちが待っていてくれるのだと信じていた^^;


当時はまだインターネットもなくて、
得られる情報は限られていたから、
海外の国々は、物語に出てくる夢の国のように思えた。



もし、あの頃既にインターネットが普及していて、
ライブカメラで現地の様子を確認できていたとしたら、
私の憧れは、あっという間に萎んでしまっていただろう。



知らないことには夢がある。




私達人類は、「知ろう」「知ろう」とし過ぎてしまったんじゃないか・・・
この頃、よく、そう思う。




小説に出てくる高校生カップルは、
互いに手紙を送り合うことで、理解を深めていく。

届いた手紙を読む以外、相手の日常のことは不明で、
次の手紙が届くまで、手元にある手紙を何度も読み返す。




今は、SNSで繋がることで、
「今何してるの?」「なんで返事くれないの?」と、
24時間、互いを監視し続けることだってできる。



「知らないこと」は、まるで悪いことみたいに、
全てを知らなきゃ安心できない呪いにかかっているみたいに、
「知ろう」「知ろう」とする。



何だって調べて分かってしまうから不思議なことをそのままにした



歌人・秋山ともすさんの短歌。




不思議なことをそのままに、
知らないことを知らないままに、




夢の分量を減らさぬように・・・




ランキングに参加しています。
クリックしていただけると嬉しいです。
 ↓

にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村