鎧を着ないで。

鎧を着ないで。











高校生の時、父の医院が火災で全焼し、火元の病室に入院していた患者さんが亡くなった。
ご自身の病状を苦にしての焼身自殺だった。


それから数年は、本当にいろんなことがあった。




その時、多分、自分で自分の心を守るために、私は鎧を着たんだと思う。




たとえ鋭い刃が刺さっても、間に鎧があるせいで、生身までは傷つかずにすんだけれど、
その代わり、全てのことへの現実感が薄く、目の前の出来事であっても、テレビ画面を眺めているような乖離した感覚がいつもあった。





平穏な日常が戻った後も、また【あの日】のように、突然、思いがけない災いが降り注ぐことがあるかも知れない・・と思うと、
鎧が脱げないままで、
鎧を身に付けている自分が嫌で、
そのせいで、自分から人間関係を広げることも皆無だった。





父が亡くなった時、弟が亡くなった時、
私の鎧は多分、私を守ってくれた気がする。
生身の私のままだったら、きっと、もっともっと嘆き悲しんで、取り乱していた気がする。
父が亡くなった時も、弟が亡くなった時も、「私が付いてるよ。」と、母を励ませたのは、鎧のおかげ。





でも、経年劣化なのかな^^;
頑強だった鎧が、ソフトシェルクラブ(?)みたいに、薄く柔らかくなってきてることに気づいて、



だんだんと、
毎日を、ライブ感覚で、直に肌に感じられるようになって、

いつしか「人恋しい」気持ちも蘇りました。





先日、次女と話した際に、
「私達三姉妹は、情に厚いの。」
と言われて、すごく嬉しかった。





おそらく人生で一番血気盛んな青春時代を、鎧をまとって、感じることを封印して過ごした私から、
情に厚い三人が生まれてくれて、本当に良かった。




心が傷つかないようにと誤魔化さない。
自分の気持ちを見て見ぬふりをしない。
その都度ちゃんと傷ついていい。
怒ってもいいし、泣いてもいい。
無理に前を向かなくていいし、ポジティブを押し付ける人の言葉も無視していい。
周りのペースは気にしない。
ゆっくりと自分のペースで歩めばそれでいい。



自然農園を営んでいらっしゃる丸角拓也さんのツイートより





もしかしたら、今、とてもつらい状況にいらっしゃるかた、

また、これから先、とてもつらい状況に出会ってしまった時、


自分を守るために、つい鎧を着てしまいそうになるけれど、
勇気を出して、生身で受け留めて欲しいと願います。



一度鎧を着てしまうと、脱ぐのはとても大変だったから。


今になって、鎧を着てた間、いっぱい損した >< と思うから。






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