文通
私が子供の頃は、メールもLINEもなかったから、
転校していった級友や、従妹や、祖父母と、ほんの時折、葉書や手紙を出し合って、
年に数回送られてくる便りを、クッキーの空き缶に保管して、
「あ、そうだ・・」って思い出すと、缶から取り出して読み返すことが楽しみでした。
今は、ほとんどのやりとりがメールやLINEにとってかわって、
「もらったメールは迅速に返信すること」がマナーだと言われるし、
LINEにいたっては、読むと【既読】が表示され、常に「返事しなきゃ💦」とToDoリストにアップされ、「間が開くこと」に対する後ろめたさを感じてしまうのですが、
正直、私自身は(早急な返信が必要な場合をのぞくと、)昔ながらの、一日一回、ポストに届く手紙を楽しみに待っていたり、
「なんて返事を出そう・・」「もうすぐ桜が咲くから、そうしたら、桜の花びらを押し花にして一緒に送ろう。」みたいに、
「相手のターン」にワクワクしたり、「自分のターン」で何を相手に届けよう・・と計画を練るインターバルが持てるタイム感を、今でも心地よく感じます。
数カ月に一度、ヨーロッパのある都市から届くメールがあります。
互いに、「随分ご無沙汰してしまいました。」という挨拶でスタートするのが決まり文句みたいなメールです。笑
私のブログを読んで下さった感想や、ご自身の身の回りで起きたことなど、
きっと数カ月の間に「次は何を届けよう・・」と、考えて考えて、便りを下さったのだなぁ・・と、毎回、子供の頃に受け取った手紙のように文字を追います。
そして、受信フォルダーに残した文章を、「昨日とは違う今日の私」の気持ちで読み返します。
前回の彼女のメールに、元ドイツ連邦大統領 クリスティアン・ヴルフ 氏のスピーチが引用されていました。
民主主義は去るときには鐘は鳴らない!
民主主義は突然消えてしまうものなのだ。
私たちはすでに民主主義国家の死を目撃している。
私たちは皆、民主主義をただ享受するだけでなく、民主的に投票し、身を挺して意見を述べ、知識や意見を提供し、民主主義を自分たちで形成していく必要があるのだ。
日々、濁流のように流れていく情報に晒されていると、
「あ、これはきっと大切なことだ・・」と、思っても、次の瞬間には、手の平からこぼれてしまって、心に留まらないままになってしまうことが、ままあって、
その取りこぼしてしまったものたちの中に、この先、二度と巡り合えない大切なことがあったのかも知れない・・と、悔やむことがあります。
そんな中、フォルダーに残る彼女からのメールは、流れにのることなく、
今日も、ヴルフ氏の力強い言葉を届けてくれます。
ヴルフ氏が唱える「民主主義」への警鐘は、「平和」にも「幸せ」にも「心地よさ」にも変換して、受け留めることができます。
「自分たちが平和に過ごしたいなら、平和を享受することに専心するのではなく、身を挺して、平和でいられる環境を、自分たちで形成していく必要があるのだ。」
「自分が幸せに過ごしたいなら、幸せを享受することに専心するのではなく、身を挺して、幸せでいられる場所を、自分で形成していく必要があるのだ。」
「自分が心地よく過ごしたいなら、心地よさを享受することに専心するのではなく、身を挺して、心地よくいられる関係を、自分で形成していく必要があるのだ。」
今日も、自分で^^、良い日を形成していきましょうね・・・
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