忘れたくないこと。
昨日、初めてのタブレット面会をしてきました。
病院のラウンジで待機していると、看護師さんがiPadを持ってきて下さって、
画面の中に、ベッドの背を起こした姿勢の母がいました♪
母は、「あらあら。」と画面をコツコツたたいて、それから手を振ってくれました。
私が持参したアドベントカレンダーがベッドサイドの棚に置かれ、
母の傍らに立つ看護師さんが、「今年は紅葉が見れなかったでしょう?って、綺麗な木の葉を持ってきて下さいましたよ。」と、色づいた葉を母に見せてくれました。
母のリクエストで差し入れたミックスジュースも、画面越しに美味しそうに飲んでくれました。
最初に説明を受けた時には、「たった15分?!」と、物足りない思いがしましたけれど、
実際は、十分に濃密な時間を過ごせた気持ちになりました。
帰り道、夫に、「お腹が空いたから、お蕎麦屋さんに寄って帰ろうよ。」と提案して、
以前に訪れたことのある山すそのお蕎麦屋さんに足を伸ばしました。
実は、母が食べることができなくなって以来、伝染したみたいに^^;、私の中から食欲が失せてしまって、自分を「食べる気」にさせる工夫をしながら、頑張って食べている状態でした。
それでも、ベストの体重から3キロ減し、こちらのブログとは別に続けているファッションブログの着画を見る度、「あなたは痩せすぎ。だから、ちっとも幸せそうに見えない。」と、長年言われ続けた母の言葉が聞こえて、ため息をつくような思いでいました。
昨日の面会で、母が美味しそうにミックスジュースを飲みほしてくれた瞬間、
自分の内に食欲が戻ってきてくれたことを感じました♪
ちょうど「おやつ」の時間帯に食べた田舎蕎麦は、五臓六腑に染みわたりました。笑
お蕎麦屋さんの周囲は、見事な秋色に染まっていました。
頭上も、足元も、紅葉がいっぱい^^
あちこちにカメラを向けていたら、同じように紅葉を撮影している夫の後ろ姿がフレームインしました。
夫も私も、いつか、必ず、母のように、過行く季節から切り離される未来がやってくるのだ・・・
と思うと、
こうして、美しい景色の中に立っていられる今を、決して忘れずにいよう・・・と思いました。
これまでの人生の中で、「今、この瞬間を、決して忘れずにいよう」と思ったことが幾度かありました。
生まれたばかりの、くしゃくしゃの泣き顔をした娘を抱いた瞬間や、
春登山の途中、谷から吹き上げてくる桜の花びらを観た瞬間や、
初めて、本物のフェルメールの絵を目(ま)の当たりにした瞬間や、
そういう、「決して忘れたくない瞬間」に出会うために、私達の生涯はあるのだろうと思います。
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